富良野市博物館
4/21に富良野市複合庁舎横の蒸気機関車D51フラヌイ号の冬囲いシートが取り払われ、半年ぶりに姿を見せました。フラヌイ号は、かつてはSL保存会のメンバーが、現在は市から委託を受けた会社が毎月の手入れやシートの取り外しを行っています。26日(土)にはフラヌイ号のお手入れ体験会を開催。この日は天候が悪い中でしたが、表面や機関室でほこりとりや油塗布を行いました。5月に入ってからは脇の桜も咲き始め、SLと桜が並ぶ姿が道行く方々の目を楽しませています。
生育状況や天候をにらんで4月1日にようやく開催が決定し、その後も予想外の雨雪があってやきもきした講座ですが、開催してみたら大豊作でした。こんなに輝くルリホコリが見られました。雪がとけたばかりに湿地林に分け入ります。わしゃわしゃさがしていると・・・あった!顕微鏡で見てみます。こんな瑠璃色冒頭の金色のルリホコリをみんなで見ているところです。野外用の簡易顕微鏡でじっくり見る方も。参加者の方もわずかな周知期間にも関わらず協力者の方含め15人も来てくれました。探すのにてこづることも多い変形菌観察会ですが、今回は見つけやすく、楽しんでもらえてとてもうれしいです。番外・永盛先生のちょうちょ講座クロヒカゲの2齢幼虫脱皮殻と通った跡ササを食べる蝶なので、好雪性変形菌を探しているとよく出会うようです。
今年度の冬の工作講座は東大演習林と共催で行いました。演習林で大きすぎたり小さすぎたりして植えることが難しい苗木を使わせてもらい、手作りのクリスマスツリーを作りました。【10/26 鉢植えづくり】まず、福岡技術職員(東大演習林)から、東大演習林の森づくりと樹木園での取り組みについて教えてもらいました。苗を選んで鉢に入れます。養生の仕方も教えてもらいました。この日の最後は園内で飾り付けのための木の実拾い。オオウバユリのたねパラパラ🎶【12/21 ツリー飾りつけ】まずは小林技術職員(東大演習林)から前回の振り返り。森づくりクイズも出してもらいました。クイズに正解するとプレゼント(飾り付けグッズ)をもらえます。その後、講師の小林さんから、作り方のイメージを教えてもらいました。おばあちゃんと一緒にお母さんと一緒にツリーと一緒に記念写真来年度は何を作りましょうかね?
ヒグマとの付き合い方をテーマにした自然フォーラムを開催しました。講師はもりねっと北海道代表で、ヒグマの生態に詳しい山本牧さんです。農林課の宮崎係長にも近年の富良野市のヒグマの出現・被害状況について報告いただきました。まずは、近年の春グマ駆除の終了や栄養価が高く隠れ家にもなるデントコーン畑の増加、様々な個々の事象をきっかけにヒトとクマの距離が縮んでいる状況があるという話がありました。さらに、雑食性・冬眠といったヒグマの色々な性質から、河畔林の草刈りで身を隠して市街地に近づける場所をなくす対策、不十分な電気柵で農作物に味をしめると翌年まともな電気柵も乗り越えてしまう事案などいくつかの事例を紹介し、何らかのきっかけにより人にとって有害なクマとなってしまうことから、有効な対策を立案するための基本的な考え方を学ぶことができました。質疑応答は永盛氏がコーディネーターとなって当日参加者の方からいただいた 12 件の質問票を元に山本氏、宮崎係長に問いかけました。自然史的な興味から、また防災の観点からの生態に関わる質問が大部分で、永盛氏との掛け合いで山本氏が回答しました。富良野市での捕獲についての質問も数件あり、宮崎係長からは事例や富良野市職員としての対応方針を説明し、山本氏から法令について説明しました。なお、この講座は富良野の自然に親しむ会・富良野市役所農林課に共催いただき、森林学習プログラムサポーター研修会としても位置付けて実施しました。共催、協力くださった皆様に感謝申し上げます。
恒例の気軽に美術に親しむ絵画講座。今回はシマエナガ、それもアニメや漫画のようにデフォルメした描き方にチャレンジしてみました。講師はイマイカツミさん。正面から見るだけなく、横から、上から、斜めから描くときどうしたら上手く描けるだろう?さあ、描いてみよう。絵葉書サイズの紙にみんなで向き合います。描き終わったらみんなで作品を見合いっこ。太いペンでくっきり、そして濃い色をベタ塗りするのが今回の傾向になってますね。どんな向き、構図で描いたのか作者のお話を聞くのも楽しいですね。一コマ漫画のようなストーリーも飛び出しました。イマイさんの「これは!いいですね〜」からはじまる講評は描くためのヒントとやる気をもらえます。終了後、この日開催していたコレクションギャラリーや常設展を鑑賞してもらいました。
博物館講座「変形菌採集&観察会」木の葉や朽木などの表面に発生するとても小さな生き物・変形菌(粘菌)を観察しました。講師は室蘭工業大学准教授の矢島由佳さんです。「ふらの変形菌の会」のメンバーも協力してくれました。今回は今後行う特別展で展示するための大型の標本を採集することも目的の一つです。午前中はハイランドふらの駐車場に集合し、隣のラベンダーの森を散策しました。まずは採集の仕方を解説。大型の標本の採集によさそうな倒木にびっしりとついた変形菌を発見!(エツキケホコリ?)変形体の変形菌も見つけました(目につきやすく、同定にも役に立つのは胞子体なのですが、この胞子をつくる前のアメーバ状の姿のときを変形体といいます)。何種類もの変形菌がついている倒木。「銀座だ」「ほんとだ銀座だ」(←変形菌好きな人、たいていこう言います)ウツボホコリ類希望者のみ参加の午後はまず、島の下停車場近くの針葉樹の森を訪ねました。ケホコリ類キャビアのように輝く変形菌。幼菌のため種は不明です。ムラサキホコリ類マメホコリ類最後に鳥沼公園へ移動して観察しました。この日の鳥沼公園ではあまり見つけることができなかったのですが、思わぬ場所でフクロホコリの仲間と思しき変形菌を観察することができました。今回は、変形菌のファンになってくれた北海道新聞富良野支局の中元支局長が、転勤直前で大変忙しいときにも関わらず駆けつけてくださいました。下の記事も中元さんが昨秋書いて下さった記事。本当にお世話になりました。こんな不思議な生き物の世界にはまってみませんか?よりディープに取り組みたい方は、「ふらの変形菌の会」への参加も歓迎です。詳しくは当館にお問い合わせください。
富良野の自然に親しむ集いの第3回。元・東大演習林技術職員の井口和信さんを講師に、第2回で観察したホタルが繁殖して生まれた幼虫が光る様子を観察しました。写真としてはあまりいいものが撮れず、興奮を伝えきれないのですが、淡い光の幼虫の姿をみることができました。なお、流星群は曇りで見ることができず。解散の少し後に晴れ間から星空が見えました。とほほ・・・。
富良野の自然に親しむ集い・第5回「三笠ジオパークめぐり」を実施しました。この日、残念ながら天候に恵まれず、行程を調整しながら進めました。まずは、三笠市立博物館にて加納館長から展示を案内していただきました。アンモナイトや古生物についての展示。炭鉱など三笠の町の郷土史のコーナー。博物館を出てからは、三笠ジオパークの坂井ガイドに説明いただきました。まず、旧奔別炭鉱をバスの車窓から見学しました。最後に、本来であれば実際に現地見学するはずだった、メインの幾春別炭鉱を、スライドや映像でバーチャルで内容を見せていただきました。岩石と石の判別も。見学後はジオ弁当を堪能。炭鉱の模型実際に見学できなかったのは残念でしたが、三笠ジオパークの方々のご尽力のおかげで、アンモナイトをはじめとする一億年前の生命の痕跡や石炭という大地の遺産の恩恵を受けながら暮らしてきた炭鉱まち特有の自然と文化について深く学ぶことができました。ここまでみせていただいたらなおさら、実際に見てみたいもの・・・。5月の大型連休期間など、一般の方に公開している時期もあり、参加者のみなさんもぜひ実際に行ってみてみたいという思いを強くしたことと思います。記事をご覧の皆さんも日程などを情報収集の上、見学してみてはいかがでしょうか。
富良野の自然に親しむ集い 第4回 「湿地林の保全を考える」を、釧路湿原やサロベツ湿原など湿地環境の調査や復元に取り組んでいる北海道大学名誉教授の冨士田裕子さんをお招きし、開催しました。「富良野盆地の原風景」と言える鳥沼公園の湿地林ですが、近年乾燥化が著しく、ミズバショウやヘイケボタルが減少するなど環境が劇的に変化してきており、保全の方策を探るため、 各地の保全事例を聞かせてもらうことにしたのです。まず、富良野の自然に親しむ会のメンバーが鳥沼公園の魅力と状況をお話しし、冨士田先生を呼ぶに至った経緯をお話しし、(同会・永盛会長)その後、冨士田先生が登壇しました。主に道内各地の湿原の状況が語られ、道内の湿地の減少が思いのほか進んでいることに驚かされました。面積や林相などの点から鳥沼公園の参考にできそうな新篠津の湿地林ではどんな対策をとったのかなど、気になる話題が次々と出てきます。質疑応答では、道内の湿地の状況について掘り下げる質問が多く出ました。講演の後は鳥沼公園を散策。乾燥化の状況を視察すると共に、面積こそ小さいものの、天然記念物に指定されている女満別湿生植物群落と林相がよく似ており、間違いなく富良野市の人々が守っていく価値のある森だといっていただきました。さらに、鳥沼公園の自然環境の劣化を防ぐためには、乾燥化の度合いや植生の調査を早急に行い、その上で(おそらくは)導水による対策を行うべきとの提言もいただきました。鳥沼公園や富良野盆地の自然をこれからどうしていくか、地域の皆さんと一緒に考え、進んでいきたいと思います。
開拓以前の景観を残す鳥沼公園で、外来種オオハンゴンソウの花を摘み取り、自然環境を保全する活動を行いました。最初はもくもくと摘み取りです。オオハンゴンソウにはちょっと気の毒ですが、エネルギーを投じて咲かせた花を、結実する前に摘むと、分布を広げる力を弱めることができます。引っこ抜くのも大事ですが(6月の取り組みもご覧ください)、より気軽にできるので摘み取りもよい取り組みです。濃緑の葉の色に隠れがちですが、大き目の見ていて楽しい花が多く咲いているこの時期。摘み取りの帰り道には道から見られた花実を観察しました。ツルニンジンの花ミズキの実オオハンゴンソウの根茎は食べられないの?という話になったことから、アマドコロという草の根を観察。ちょっと試食もしてみました。※似た植物には有毒の物もあります。記念写真をパチリこのあとは鳥沼会館に入り、小林静子さんを講師にオオハンゴンソウなどを使った草木染めに取り掛かりました。染液につける前に”しぼり”をつけて模様が出るように準備します。今回はオオアワダチソウにミョウバン媒染を使った明るい黄色とオオハンゴンソウに銅媒染(鉄媒染の人も)を使った深緑色を組み合わせてみました。共催いただいた上川総合振興局の高橋さんの解説。アズマヒキガエルやウチダザリガニの標本を見せてもらいました。作品を手にみんなで記念写真を撮ってこの日はおしまい。これからも、気軽な気持ちで外来種の防除による身近な自然を守り残す活動を続けていきたいなと思います。毎年行っていますので、どなたでもどうぞお気軽にご参加ください。