富良野市博物館
今年度4回目の「富良野の自然に親しむ集い」では、通称”安政火口”の見学会を行いました。今回は特別展「富良野原野の開拓と山手幹線用水路」の関連企画でもあります。富良野盆地の土地改良の歴史において、人々が苦労した理由の一つに、ヌッカクシフラヌイ川などいくつかの河川が硫黄成分を多く含んでいて、作物の生育に適していなかったことがあります。ヌッカクシフラヌイ川をさかのぼっていくと安政火口のすぐ下部になるのですが、これが今回、安政火口を探索する目的の一つです。ということで、富良野市役所から出発したバスは山手幹線用水に近い9線道路を通り1時間ほどかけて、十勝岳登山口にやってきました。ここで、今回講師をお願いしている十勝岳ジオパークのガイドの方々と合流しました。コースや地史の概要をお聞きした後早速出発。序盤では足元の土砂が前方に崩壊面の見える三段山由来であることを教えてもらいました。露頭のところで岩礫のサイズ分布や尖り・丸み具合を観察しながら判断できることを教えてもらいます。エゾオヤマノリンドウ硫黄採掘の際、馬に足を洗わせたという池を見学。付近の露頭を見ると、樽前山の噴火による石灰岩の層など地史を知ることができます。いよいよここから降りて、安政火口に向かいます。雨風ですぐ道が崩れてしまうとのことで、だいぶ急な降り口となっていました。進むにつれ、黄色い硫黄が増えてきます。このあたりでヌッカクシフラヌイ川の水にpH試験紙をつけると酸性が強くなっており、硫黄分が多くなっているのがわかります。いよいよ安政火口に到着。あちこちで熱い蒸気が噴き出ていて、うかつに手をかざせません。この蒸気を利用して生卵を温め、ゆで卵にしていただきました。暖かい岩上に腰掛けながら露天掘りから液化採掘への変遷といった硫黄採掘の歴史、十勝岳温泉の開泉や取水地点を探索してきた歴史も詳しく教えていただきました。硫黄の結晶あちこちに顔をのぞかせている花崗岩がありますが、それが崩れてできたガレ場からはナキウサギの声も頻繁に聞こえてきます。毎年一回程度遠出して行うバスツアー。今回は十勝岳ジオパーク推進協議会のガイドの方々のご協力で、楽しく学ぶことができました。