10/2 ふらの文化財めぐり〜戦争遺産を掘り起こす

掲載日 2021-11-3 12:20:00 | トピック: 博物館講座

緊急事態宣言の影響で延期となった「ふらの文化財めぐり」を10月2日(土)に開催し、マイクロバスで市内各所を巡ってきました。

今年のテーマは「戦争遺産」。遺構として遺っている文化財を市民8名と一緒に見学しました。

スタートは富良野神社から。忠魂碑と狛犬を見学しました。富良野神社には3対の狛犬がいますが、このうち現在の社殿前に安置されている昭和17年寄進の狛犬は胸を張り、筋骨隆々としたスタイルです。昭和15年の皇紀二千六百年を記念して、この前後に寄進された狛犬は全国的に数多くあります。時局を反映し、戦意高揚を意識したこうしたスタイルの狛犬が好まれた時代でした。

富良野神社の向かいには、かつて在郷軍人会館があり、軍事施設を持たなかった富良野では、「帝国在郷軍人会」が今回の見学会のキーワードになることもお話しさせてもらいました。

この後、朝日ヶ丘公園に移動、平和記念塔(旧忠霊塔)と山頂の在郷軍人会が管理した防空監視廠跡地を見学、さらに在郷軍人会が建設した射撃訓練場の監的壕を2か所を案内しました。市内には、監的壕を備えた射撃場が下五区と山部の2か所、そのほかに簡易的な射撃場が少なくとも鳥沼、布礼別、麓郷、東山地区にあったことが分かっています。



監的壕は鉄筋コンクリート造の箱型の構造物で、的から外れた場合に備えて丘や山の斜面のそばに設置されます。監的壕の上部には3か所の窓穴を備え、この中に控える監的手が窓穴に的を掲げます。射撃手は監的壕から概ね、200〜300m先から射撃を行いました。当日は安全を確認した後、壕内を案内、苔むした藪の中にある監的壕の存在に驚いていました。



さらに博物館で展示している「青い目の人形」や昭和20年7月15日の富良野空襲で被災した旧富良野駅の柱とレール、大本北海本苑の戦時中に爆破された歌碑、布部地区の石綿工場跡地なども見学しました。



今回の見学会を通じて、戦争にまつわる遺構が私たちの暮らす富良野市にもすることを理解され、また戦前から戦中にかけての当時の様子を学ぶことができたのではないでしょうか。

来年も新たなテーマを設けて、文化財を掘り起こし、その価値を共有する見学会を開催したいと思っています。ぜひご参加ください。



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