7/13 博物館講座 土の中の小さな生きもの観察会
掲載日 2019-7-16 7:40:00 | トピック: 博物館講座
| 名寄東中学校の寺口翔馬先生と元富良野高校理科教諭の永盛俊之さんを講師に鳥沼公園で講座を行いました。 ※寺口先生は昨年まで北海道教育大学旭川校に在籍しており、卒業論文で富良野市立樹海中学校を対象とした森林学習プログラム(土壌動物しらべ)の指導者を担当しましたが、今回はその内容を一般の方にお伝えする機会として実施しました。
小雨の降る中、まずは外に出て公園内の「ハンノキの林」で自然散策をしつつ、乾いた草はらと湿地林の2か所で土壌を採取しました。
落ち葉の層をとってから、その下の腐葉層をシャベルで掘り取ります。
それらを持ち帰り、室内でふるいにかけながら、目を凝らして動くいきものを見つけてはシャーレに投入します。
ピンセットでも取り切れないようなとても小さな土壌動物はツルグレン装置で捕まえます。これは、電灯で土壌を乾燥させ、逃げ出したところをフラスコで受け止める土壌動物の採取法です。
昼休憩を取った後はこれらの生き物の分類作業です。検索シートを見て目レベル程度まで分けていきます。慣れるとかなり自分たちで判断することができますが、わからないときは講師を呼んで教えてもらいました。
トビムシ
ヒメフナムシ
陸貝
ダニ(ツルグレン装置)
ワラジムシ(抱卵中!)
採集した二つの場所(乾いた草はらと湿地林)では共通するものも多かったですが、異なる生物も少なくありませんでした。例えば乾いた草はらでは自然度の低い環境に多いヒメミミズが多かったり、カメムシなど昆虫の種類が多めでした。一方、より富良野盆地の開拓以前の姿の様相を残している湿地林では巻貝やヒメフナムシなどが見られました。
土壌動物は、動植物の遺体が分解され土壌を生成するプロセスにおいて重要な役割を担う存在です。今回はちょっと変わった切り口の講座でしたが、生態系を陰で支える土壌動物を知っていただき、改めて自然に親しむ機会としていただけたのではないかと思います。 また、今回の調査記録は標本と共に博物館に保管し富良野地域の自然史資料として保存されます。
【お知らせ】 富良野市博物館では8月3日(土)より 第37回特別展「森を支えるきのこ」 を開催します。土壌動物が機械的に細かくした落ち葉などの有機物を化学的に分解し、樹木や草花の生育する栄養分を供給する役割を担うのが菌類(きのこ)であり、こちらも大変重要な生態系の構成者です。そんな菌類の世界にどっぷり浸かる展示内容となっています。ぜひご覧ください。
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