富良野市博物館
富良野の自然に親しむ会と共催で行っている講座「富良野の自然に親しむ集い」の今年度 第1回を実施しました。 今回雪虫をテーマとするにあたって、自然写真家の石黒誠さん、石黒さんが雪虫写真を撮って発表する過程で学術的な観点からバックアップした秋元信一さん(北海道大学大学院農学研究科・名誉教授)が講師を引き受けてくれました。
早朝の野鳥観察会を実施しました。講師は東大演習林の松井理生さん。皆で同じ鳥を双眼鏡のファインダーに入れて観察するのはなかなか難しいもの、そこでさえずりなどの鳴き声を聞いて、鳥の種類を同定するのをメインにすえた活動にしました。
富良野市博物館では2019年から未登録の収蔵資料の整理と登録を行っています。今回、その一部を用いて昔の暮らしや郷土の歴史を振り返る講座を2回にわたって開催しました。
2月5日(土)、鳥沼公園で冬の自然観察会を行いました。この時期の鳥沼公園といえば沼をうめつくすような数の水鳥たちが魅力です。今回もマガモやコガモなど100羽ほどの水鳥が川面で休んでいました。講師の松井理生さんらによるとこれまで越冬記録のなかったオオバンやまれなダイサギの姿もあり、気候の変化の影響が頭をよぎります。
博物館2階「体験交流室」で冬の自然工作講座を開催しました。今回は羊毛に加え、周辺で採集した木の実や冬芽、葉を使った工作。地元の自然に親しみながら、クリスマスシーズンにも飾れるような作品を作りました。
お知らせの内容によってはホームページではなくフェイスブックページのみで掲載することがあります。ここでは2021年度の博物館講座に関わるお知らせをリンクにて紹介いたします。◆「木の実と羊毛のタペストリー作り」講座で使用する工作材料の提供のお願い◆草木染め講座(プロジェクト「O」第二回)の内容の紹介
「文化の日」に美術に親しむ講座「アートを楽しもう!」を今年も開催しました。講師はお馴染みのイマイカツミさん。今回は、白地のパズルに思い思いの絵を描き、自分だけのオリジナルパズルを作ってみました。どうしても失敗を恐れがちですが、「楽しむ」「個性」「思い切り」を合言葉にパズルの製作を楽しみました。最初は慎重だった参加者の皆さん。イマイさんの励ましの言葉に力づけられ、時間が経つにつれて、俄然勢いと個性が出てきて、楽しい作品が出来上がりました!肩肘を張らないで、身近な素材でモチーフで描く、作る、鑑賞する、美術の楽しさに普段から親しんでもらえたら嬉しいです。
緊急事態宣言の影響で延期となった「ふらの文化財めぐり」を10月2日(土)に開催し、マイクロバスで市内各所を巡ってきました。今年のテーマは「戦争遺産」。遺構として遺っている文化財を市民8名と一緒に見学しました。スタートは富良野神社から。忠魂碑と狛犬を見学しました。富良野神社には3対の狛犬がいますが、このうち現在の社殿前に安置されている昭和17年寄進の狛犬は胸を張り、筋骨隆々としたスタイルです。昭和15年の皇紀二千六百年を記念して、この前後に寄進された狛犬は全国的に数多くあります。時局を反映し、戦意高揚を意識したこうしたスタイルの狛犬が好まれた時代でした。富良野神社の向かいには、かつて在郷軍人会館があり、軍事施設を持たなかった富良野では、「帝国在郷軍人会」が今回の見学会のキーワードになることもお話しさせてもらいました。この後、朝日ヶ丘公園に移動、平和記念塔(旧忠霊塔)と山頂の在郷軍人会が管理した防空監視廠跡地を見学、さらに在郷軍人会が建設した射撃訓練場の監的壕を2か所を案内しました。市内には、監的壕を備えた射撃場が下五区と山部の2か所、そのほかに簡易的な射撃場が少なくとも鳥沼、布礼別、麓郷、東山地区にあったことが分かっています。監的壕は鉄筋コンクリート造の箱型の構造物で、的から外れた場合に備えて丘や山の斜面のそばに設置されます。監的壕の上部には3か所の窓穴を備え、この中に控える監的手が窓穴に的を掲げます。射撃手は監的壕から概ね、200〜300m先から射撃を行いました。当日は安全を確認した後、壕内を案内、苔むした藪の中にある監的壕の存在に驚いていました。さらに博物館で展示している「青い目の人形」や昭和20年7月15日の富良野空襲で被災した旧富良野駅の柱とレール、大本北海本苑の戦時中に爆破された歌碑、布部地区の石綿工場跡地なども見学しました。今回の見学会を通じて、戦争にまつわる遺構が私たちの暮らす富良野市にもすることを理解され、また戦前から戦中にかけての当時の様子を学ぶことができたのではないでしょうか。来年も新たなテーマを設けて、文化財を掘り起こし、その価値を共有する見学会を開催したいと思っています。ぜひご参加ください。
博物館講座「プロジェクト「O」」は鳥沼公園で分布を広げ、自然景観を変えつつある外来植物オオハンゴンソウを減らし、今ある自然を守る取り組みです。今回は内容を一部変更し、オオハンゴンソウの摘み取り自体は行わず、繁茂状況を視察した後、ハンノキの植樹を行いました。これは、10月の初めに公園内の「ハンノキの林」で大径木のハンノキが倒れ、大きな裸地が生じてしまっていたことから急きょ計画したもので、このハンノキの実生は富良野の自然に親しむ会の協力で、昨年秋に公園内で採集したハンノキの種を育てたものです。 実際に実生を育てた同会の木村徳志さん(東大演習林技術職員)の指導で裸地に60本あまりの実生を植えました。
ゴマ粒のように小さいけれど、多様な色や形をし不思議な魅力にあふれた生物「変形菌」。その観察会を、室蘭工業大学准教授の矢島由佳さんに案内していただいて実施しました。 今回選んだフィールドはラベンダーの森(宿泊施設ハイランドふらのに隣接する種類の多様な植樹の林)。変形菌は市街地・森林・草地など場所を選ばす出現しますが、今回目指したのは秋の朽ちた倒木上に出現するタイプの変形菌です。 右:アミホコリ類 左:変形菌の移動跡 右:ケホコリ類 左:やや古くなり胞子を噴き出しているマメホコリ類 右:マメホコリ類の幼菌 ※マメホコリの仲間はやや大きめ。 変形体(繁殖器官である子実体を形成する前のどろどろした姿) 午後からは鳥沼公園へ移動しました。右:ケホコリ類 会員(副会長)の井口さんが地面にはりつくようにして探しています。変形菌はたいていとても小さく地面に近いところに生育するので、探すときは誰もがこんな姿になります。なんと夏季に生育するタイプの(晩秋性ではない)ツノホコリ類を発見しました!参加者の中にはきのこ(菌類)に詳しい方もいらっしゃり、きのこの観察も楽しめました。 チャタイゴケの仲間を見る富良野高校科学部部長 ぷにぷにの菌類に「なんじゃこりゃ!?」 右:ロクショウグサレキン野外観察の後は室内(鳥沼会館)で講義を聞きました。 講義の後は採集した変形菌や矢島さんが持参したルリホコリ(春に観察できる好雪性変形菌)などを観察しました。矢島さんには昨年の調査会で採集した変形菌類の同定もしていただいており、今回の場で改めて皆さんに見て頂きました。→昨年の変形菌調査季節、場所、標高などによって観察できる変形菌の種類はぐんとかわってくるそうです。また来年度、別の時期に変形菌の観察会ができればと考えておりますので、ご興味を持たれた方はぜひご参加ください。